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狂乱家族日記 [小説]

<前フリ>

ここ最近、「ファミ通文庫」というブランドを目にするようになってくる。
「エンタメ」という新人発掘的なコンテストを積極的に行い、
小説家やイラスト&漫画家をこのブランドから登場させようというものだ。
賞を得た人たちが、ファミ通文庫からどんどんデビューしているようだ。

本屋でパっと見た感じ、小説の表紙や取り扱っている内容が、
スニーカー文庫だなと感じていた。今風な味付けもアリって感じで。

自分はもっぱら推理小説しか読まなくなってしまったが、
中学ぐらいのときは角川スニーカー文庫を読みふけっていたものだ。

そんな昔が懐かしい。
これを機に、この手の作品に改めて触れてみるのも
面白いかもしれないと感じていた。

とはいえ、心動かされるタイトルが無い。
そのため触手が伸びない状態が続いた。


そんなことを考えながら数ヶ月。
ふと目に入ったキャッチコピー
「ウワサの超新星・日日日作品、2レーベルから2シリーズ同時スタート!」

2レーベル? 2シリーズ?

スニーカー文庫とファミ通文庫で、
同じ作家が異なった作品をスタートさせたということだ。

マンガでも、同じ作家が別の雑誌で連載ってのがあるけれど、
同時スタートとはね。
しかもエンターブレインと角川。
会社をまたいでの出版とは。


<余談>

しかし実のところ会社をまたいでいるわけではない。
エンターブレインは、元々アスキーの中から出てきた会社。
ゲーマーなら知っているファミ通を出版している。
そのファミ通を含むゲーム雑誌などの部隊を、旧ファミ通編集長、
浜村氏が率いてアスキーから独立したのがエンターブレインだ。

細かいことは省くが、
アスキーやエンターブレインの持ち株会社、メディアリーヴス。
そしてメディアリーヴスを2004年初頭に買収したのが角川ホールディングス。
すなわち、エンターブレインは角川傘下となったわけだ。

もっと簡単に言えば、
メディアワークスの電撃と、エンターブレインのファミ通は
大きな組織で見れば、同じ傘下にいるわけです。
とはいえ、これまで築き上げてきたファミ通、そして電撃の地盤を崩すことなく、
あえて言えば良き競争相手として、これまでどおりゲーム雑誌を展開する
兄弟関係のようになったということだ。

そんなわけで、角川スニーカー文庫とファミ通文庫が共同して
今回のような面白い試みがなされたのも不思議ではない。

 


さてさて、この作家さん。
超新星…ってことは新人なのかな。
新人がいきなりすごいことをやらかすものだ。
そこは素直に驚いた。

名前は”日日日”と書いて”あきら”と読むらしい。


丁度いい機会かもしれない。
ファミ通文庫、触れるチャンスかもしれないな。
そこで「狂乱家族日記」という小説を手にしてみた。


<本編(ネタバレ極力少なく)>

初めはなかなか作品の世界に入れなかった。

猫耳でツンデレっぽい娘、凶華(きょうか)という女性と
夫婦になることを強要される主人公。国家機関からのお達しだ。
地球を救うための任務。
そのために夫婦になれという、ちょっとした偽装結婚か。
すごい始まり方だ。

しかもこの凶華、とにかく毒舌。
それでいて自分がすべての頂点であるかのような振る舞い。
ツンデレのツンだけが強化された女性だ。

これに加えて、アクのある5人の子供
家族として暮らすことになるっていうんだから、メチャクチャな話だ。

子供といっても、通常の理解を超えている。
1人はフツーの女の子、
あとは人語を話すライオン、機械の体を持つ生物兵器、
そして一見して美少年だが強度のオカマな男の子、そして…クラゲ。

「はい~?」
と「舞HiME」の舞衣のごとく、その設定に疑問の声を漏らす自分。
読んでいて唖然としてしまう。

こんなので小説として話がまとまるのか?

なんでも特徴のあるキャラを出せばいいってもんじゃないだろ!?
ナニを考えているんだ、この作者は。


ちょっと憤りさえも感じた。

けれど文章は読み易く、もう少し読んでみるかと思わせる。
マンガのように読める小説。ここが罠だったりする。

固くなっていた自分の頭が、少しずつ、そして無理やり丸くされていく感じだ。
知らず知らずこの世界に引き込まれていく。

おいおい、ちゃんと読めるよ、コレ!

そんな風にこのアクの強いキャラたちをまとめてしまうのか!?
読みながら、うーむと無言で感嘆する。

 

恐ろしい作家が登場したものだ。
これが新人? ありえない。
「もう、こう書くしかないでしょ!」「だからこんな話しができました!」
という勢いを感じる。


4-kemo-9 さん のブログによれば、執筆が早いとのこと。

若き勢いのある新人、彼の活動がこれから楽しみだ。

 

・碧天社
日日日(あきら)氏のインタビュー記事

http://www.hekitensha.com/next/akira/interview.html

 


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コメント 2

ちわっす。帰ってこれました。
なんで読めるのか、たしかに不思議ですね。
角川と電撃の繋がりは知ってましたけど、ファミ通とも繋がってたとは。恐るべし、角川。
by (2005-06-16 00:11) 

カルディア

>4-kemo-9さん
こんちわーっす^^
恐るべし新人って感じです。初めからこんなに飛ばしてしまって、
ネタ切れにならないか気になるところ。
角川の方も読んでみたいという気持ちになりましたよ。
by カルディア (2005-06-18 00:51) 

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