映画「蟲師」レビュー [映画]
自分はアニメしか観ていませんが、
アニメでは、その独特の世界観とネタの素晴らしさに圧倒された作品でした。
それが実写化されたということで気になってはいたのですが、
実のところ過去にマンガやアニメの実写化で良かった邦画はあまりなく、
そういう意味では期待はさほど大きくはなかったわけです。
そこに拍車をかけるように、「YAHOO! 映画」のレビューでは酷評が目立ち、
迷いながらも、やはり”自分で観て判断したい”という気持ちが大きくもありました。
というわけで観に行くことに。
館内はすげー空いてた!w
やはりネット上での酷評は痛いほど効いていることが実感できます。
※以下、多いにネタバレしていますのでご注意ください。
映画の内容は、ギンコの少年期が描かれた第12話「眇の魚」(すがめのうお)が
全体の軸としてあります。
ギンコがギンコになった所以を語る話ですね。
白髪で隻眼の女性”ぬい”との出会いから”ギンコ”になるまでの話。
※画像はアニメ版です(以下同)
そこに、第3話「柔らかい角」が前半の物語として描かれ、
後半は、第7話「雨がくる虹が立つ」と第20話「筆の海」を合わせた形になっていました。
ラストはオリジナルで、”ぬい”との話に終止符を打ちます。
まず観た率直な印象として、長い!
作品の性質上、どうしてもゆったりとした表現になるため、2時間半は長過ぎると感じます。
また、個人的には無駄な映像が多かったと思います。
”蟲師”としてではなく、”映画”として、そのシーンはもっと短くしても良いんじゃないか、
そこはいらないんじゃないかと思った部分が何箇所かありました。
細かいところへのツッコミとして、
序盤の「柔らかい角」の中で失聴した村人たちを治療し、薬を売るシーンがあります。
その行為が、何だかギンコが商売人のようなイメージです。
序盤なので、初見の人には”薬を売り歩いている人なんだ”と
思われてしまわないかと思ってみたり。
原作と違うところでは、後半部の「雨がくる虹が立つ」と「筆の海」の合体。
虹を探す男”虹郎”との旅の間、「筆の海」も同時に語られるというだけですが、
ギンコが巻物から溢れた文字に襲われ、文字に取り憑かれてしまい意識不明に。
ギンコを助けるために”淡幽”と”たま”とともに虹郎も奮闘します。
ただ、原作と違うとはいえ、ここは特にイメージが壊れるものではありませんでした。
その後、一命は取りとめたもののギンコは夢遊病者のような感じに。
それでも虹郎と旅を続けるのですが、途中でいきなり快復したところに違和感があったかな。
一番気になったのは、ギンコがタバコを吸う点について。
これが普通のタバコではなく、蟲煙草と呼ばれる、煙で蟲を寄せ付けない要素があるのと、
蟲を引き付けてしまうために吸っているという解釈が語られない点。
初見の方にはこれが伝わらないと感じました。
また、蟲を引き寄せてしまうがために一箇所にとどまれないという理由のために、
旅をしているという点も分かり辛いと感じました。
それと、”蟲に取り憑かれた人を助ける”というシーンが少ないため、
蟲師の基本的な職種が十分に伝わらないだろうなとも感じました。
こうした点から、原作ファンからは駄作というレッテルを貼られてしまったのだと思います。
独特の世界観だからこそ、こだわりのあるファンが多い作品。
そうしたファンからすればダメ出しがあるのも分かる気がします。
ただ、どんな作品であれ原作ファンというのは、概ね実写化はダメという烙印を
押してしまう傾向にあるため、やはり自分の目で見て判断するのが良いかと思います。
自分としてはそれほど酷い内容ではないというのが結論です。
ラストは疑問が残りますけれどね。
”ぬい”役の江角マキコの演技はさすが上手いなと感じました。
また、原作ではお堅いイメージの淡幽ですが、
蒼井優の見た目の可愛さが前に出ていて、むしろ良し! でした。
個人的に、淡幽が菜箸を使って文字を捕まえるシーン。
これが実写で再現されていて格好良かったです!
捕まえた文字をスパっと巻物に貼り付けていく姿はシビレました。
ただ、1回しか見せてもらえず、もう1回ぐらい文字の貼り付きシーンが見たかったですね。
とはいえこのシーンは震えました。盛り上がる部分です。
むしろこれを見ることができて良かったと思ったぐらい。
ここで終わっておけば良かったものの、この先からが長く感じられました。
次の盛り上がりは、虹郎と一緒に虹蛇を見つけるシーン。
綺麗な虹がスクリーンいっぱいに描かれたのは壮大でした。
もうここで終わりだろうと思いきや、原作にはない、”ぬい”との話の決着へ。
これがおそらくダメだった部分。
ラストをどうするのか迷った挙句に仕方なく入れた話のような気がしました。
最後も良く分からないままだったですし。収拾つかなかったのかな?
最後がよければもう少し酷評が減ったかもしれませんね。
余談ですが、ギンコが文字に襲われるシーンで、「どうする!?」と言うのですが、
ここでライフカードが浮かんだのは自分だけではないはず(笑
こんにちわ!
私も見に行きましたよ。
原作は呼んでないですし、アニメ版(地上波)も終盤になってから見たので、初めて見た話もあり、結構楽しめました。
しかし、率直な感想を言えば、「微妙」ですね。
「蟲師」ってオムニバス形式というイメージがあり、一話一話のアクが強い作品なので一本にすると違和感があると感じたからです。
ラストはよくわからなかったですし。
とは言え、映像のレベルは高いし、淡幽のエピソードと虹郎のエピソードは、たしかにうまく合わせられていたので、「ダメ」とは言い切れませんね~。
>蟲師の基本的な職種が十分に伝わらない
お堂でギンコが文を見るシーン。
あれも初見だと何をしてるのか、わかりにくそうですよね。
>薬を売るシーン
私は逆に、蟲師が職業としてのものだとわかって良かったかなと思います。
確かにあそこだけ抜き出すとただの薬売りだと思われるかもしれませんが、後の展開で薬売りではないのはわかりますし、蟲師がいわゆるヒーロー的なものではない、という位置付けが出来たのではないかと。
まあ個人的な意見ですが。
>淡幽
逃げ出した蟲を巻物に戻すシーンは、是非見てみたいシーンだったので、予想通りのカッコよさで満足でした。(^^
蒼井優さんも可愛かったですしね!
私的にはアニメで見た、キリッとした淡幽のほうが好きですけど。
何せツンデレ好きですから。(笑
でも欲を言うなら、ギンコが倒れてるので、虹郎に「全部覚えてるのか!?」って台詞を言わせてほしかったな~。
…相変わらず馬鹿みたい長い私の書き込み…。
なんかもう、毎回申し訳ない気持ちでいっぱいです。OTZ
by ガッツ (2007-04-08 14:44)
ガッツさん>
こんばんは~(・∀・)ゞ
この酷評の中、カキコ常連さんの中に見に行った方がいたとは!
>一話一話のアクが強い作品なので
1話ずつ噛み締めるように味わうのが蟲師の楽しみ方でもありますね。
映画なのでいくつか組み合わせる必要があったのは当然ですし、
その点は特に問題なかったのですが、やはりラストが、ねぇ…。
>お堂でギンコが文を見るシーン。
さすが、良いところを言っていただけた!
実はそれも本文に加えようと思ったネタでした。
繭を使って文を送るという画期的なネタは、かなり好きな話だったので
少しは語って欲しかったところです。
あれではそこに前からあったようにしか見えませんし。
>蟲師がいわゆるヒーロー的なものではない
なるほど、そう言われるとあながちあれでも良かったようにも感じられます。
蟲と戦うヒーローではなく、医者や術者みたいなものですからね。
>「全部覚えてるのか!?」
これは言って欲しかったですね~。驚き度が数段上がりますし。
>毎回申し訳ない気持ちでいっぱいです。
何をおっしゃいますかw いつもコメント心待ちにしてますよ♪
むしろこんなに長文をもらって良いのかと。
そろそろブログ立ち上げてみてはいかがですか?w
by カルディア (2007-04-09 02:03)
こんばんは(⌒∇⌒)
『蟲師』観に行かれたのですね。
映画『蟲師』、気になってはいたものの、
忙しくてとても観に行けそうにないです~。
地方ゆえ、上映映画館もかなり限られてまして、
哀しいこってす。(ToT)
カルディアさんのレビュー、じっくり拝読しましたー。
読みごたえ、ありました!
アニメ版の画像入りで、(もしかして、全話録ったものを残していらっしゃるんでしょうか……)
細かいツッコミも、さすがです。
いやはや、やはりラストは重要ですね。
身につまされます(笑。
レビュー参考になりました。
DVDが出たら見ようと思います♪
by 岩宮 (2007-04-11 23:13)
岩宮さん>
こんばんは~ヽ(゚ヮ゚)ノ
相変わらず忙しそうですね。
そんな中、長いレビューを読んでいただきありがとうございます。
>残していらっしゃるんでしょうか
地上派で放映された分は残ってます。
BS側も全話見ましたが、やはり素晴らしい作品ですね。
アニメはw
>身につまされます(笑。
ちょ…w
確かに物語は何にしても最初の引きと、ラストの余韻は大切ですね。
この映画では監督の迷いが見て取れたため、
いまひとつ納得いかなかったわけです。
迷いなく自分はこうだ!という監督や制作側の意思が伝わるようなものであれば、
賛否あろうとも、結果的にはしっかりしたものになると思うんですよ。
>DVDが出たら見ようと思います♪
DVDレンタルで良いと思います。DVDなら早送りとかできるしw
by カルディア (2007-04-12 00:41)