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「風立ちぬ」見てきた! ストーリー&感想・ネタバレありレビュー [【アニメ】劇場版レビュー]

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「美しい飛行機を作りたい」

ジブリの最新作がついに公開!
ってことで見てきた感想とか。

【ネタバレ注意】
見る予定のある方は読まないことをお勧めします。



◆ストーリー&感想 【ネタバレ】
以下、ストーリーに挟んで感想を書いています。


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●幼少期、そして大学生へ
子供の頃から外国雑誌を読むなど、海外への興味が高かった堀越二郎。
自作飛行機に乗る夢を見ては、将来は飛行機を作りたいと心に決める。

それから数年、東京の大学へ戻る汽車内で一人の少女と出会う。
ワンピース姿で外国語を嗜む様子から良家のお嬢様らしい。
そこへ唐突に大地震が勃発。
汽車は止まり、炎と煙に包まれて崩壊する街並み。
少女の同行者が足の骨を折ってしまい、
気に掛けた二郎は二人の面倒を見て何とか自宅まで届け、名も告げずに去る。
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導入部の幼少期はしばし退屈だった。大丈夫なのかこれ・・・と心配するほど。
だが関東大震災からガラリと空気が変わってスクリーンに食いつくようになる。
地脈の鳴動が画面から伝わってくる見せ方は素晴らしかった。
逃げ惑う人混みの描きも細かすぎて見入ってしまう。

ちなみに庵野の声はいつの間にか自然と耳に入れており、
二郎の声と問題なくフィットしているなと感じてみたり。




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●それから二年、飛行機設計に携わる
航空技術者として働く二郎。
大学では優秀だったようで上司の黒川からの無茶な注文も容易くこなしていく。
黒川は厳しい面もあるが二郎の実力を高く買っており、
同僚の本庄を含め、数人でドイツの留学メンバーとして選抜する。
海外で飛行機技術を学んだ二郎はその能力をさらに伸ばす。

物語が進行する中、汽車で助けた少女の付き添いの者からお礼の手紙が届いたり、
医師を目指す妹の登場、戦闘機の飛行試験の失敗などが描かれていく。

さらに五年経過。
初めて設計主務を任された二郎。だが試験飛行で墜落させてしまう・・・。
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二郎の飛行機設計への情熱が伝わってくる場面が様々な形で描かれる。
斬新で独特な設計を行なっていく様は、
設計者として類まれない才能を持っていることを痛感していくことになる。
設計の仕事は地味なんだけど、テンポ良く見せているため特に飽きることはないんだよね。

二郎は作られた飛行機の飛ぶ様子を想像できる持ち主のようで、
墜落に対しても原因が突き止められているかのような演出。
だが、なかなかその成果が現れないが歯がゆいところか。




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●菜穂子との再会、婚約、結婚
飛行機墜落への落ち込みからか、避暑地で一人過ごす二郎。そこは外人が多く集まる場所。
丘の上で油絵を描く女性を見かける。風で飛んだ傘を拾ったことで出会う二人。
その女性(菜穂子)から、地震の際に助けられた者だと打ち明けられて互いを認識。
だが菜穂子は病を発症させて寝込んでしまう。
療養する菜穂子を元気づけていくことで、二郎自身も何やら活力が戻っていくかのよう。

復帰した菜穂子と手を取り合う二郎。
同行していた菜穂子の父の前で気持ちを明らかにし、結婚を約束する。
だがこの時、菜穂子の母が結核だったことを知らされる。おそらく自分も、と。
それでも一緒になりたいと決意する二郎。

仕事は順調。
だが二郎は優秀な技術者なためか何者かに追われる身となる(海外の諜報部員?)。
そのため上司の黒川の家にお世話になる。
ある日のこと、仕事中に電報が届く。菜穂子が結核を煩わせたらしい。
急いで菜穂子の実家へ訪れては互いの気持ちを再確認。
菜穂子は山奥の療養所で一日でも早く結核を直すことを決意する。

数日後、療養所から抜け出してきた菜穂子。
黒川夫妻の了承を得て離れの部屋で二人で住まわせてもらうことを申し出る。
しかし結婚もしていない男女を一緒にさせるわけにはいかないと言われ、
この場で式を上げると二人で決断。

立会人が黒川夫妻だけという質素な結婚式を済ませた二人。
病を持つ菜穂子だったが、それでも構わないと二郎を床に呼び寄せ身を重ねる。
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昔の出会いが大人になって活きてくる美しい展開ながら、「結婚しよう」がすごくあっさり。
いつの間に二人はそんな気持ちを交わすようになってたの!?
まるでそこは脳内補完してよってぐらい、その後も着々と仲睦まじい姿を見せてくる。
まあ恋愛が主ではないからこれぐらいで良いかもしれない。
療養所を抜け出す行動力や、初夜の行為を促す菜穂子の姿に、
淡白な二郎を引っ張っていく強い女性なんだなとじわりと感じてくる部分。

結婚式をその場で挙げるという展開には驚かされたけれど、
こうした突飛もない流れはぐいぐい引き込んでいく要素だったなと。




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●美しい飛行機の完成と最愛の人との別れ
新たな飛行機開発に着手する二郎。
帰宅してからも寝たきりの菜穂子のそばで仕事をこなし、
ようやく夢に描いた美しい飛行機を完成させる。

その飛行試験中、菜穂子は手紙を残して黒川家を黙って去っていく。
美しくいられる間だけ大好きな人と一緒にいようとした菜穂子。
飛行試験は大成功となるが、その時何かを感じ取った二郎。

幼少の頃から見る夢の中で、度々登場する著名な飛行機製作者のカプローニ。
飛行機完成への賛美を受ける中、二郎はそこに菜穂子の姿を見かける。
だが菜穂子はその姿を消していき、二郎は生きねばと決意する。
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二郎が感じたのは虫の知らせだったのだろうね。
飛行機は作り上げたが、大切な人を失うことになるというやるせないラスト。
菜穂子は残り少ない時間を二郎に捧げ、
新たな飛行機を作り上げる力を与えてくれたのだと思う。




◆総括
堀越二郎という架空人物の激動の10年を追った、恋愛劇を含む大人向けの作品。
小学生が見ても退屈なため、子連れでの視聴はお勧めしない。
恋愛面においては表面上は軽い印象を受けるが、行間を読むと結構重かったりする。
軽い感じがするのは二郎が淡白だからなのかもしれない。

庵野の声に関しては意外とイケる。
作品に浸っていくとまるで気にならない不思議っぷり。
ちゃんと演技しており、二郎の純朴で真面目な部分には棒さが逆に似合ったと思える。
案に相違してナイスなキャスティングだったなと。

作品の出来栄えに賛否両論があると聞くが、それは何となく頷ける。
なぜなら飛行機は出てくるが『紅』のようなファンタジーではなく、
戦中戦後のドラマを見ているような感じ。
これまでのジブリを想像していると痛い仕打ちを喰らう真面目スタイル。
とはいえ吾朗作品やアリエッティと違い、
場面が目まぐるしく変化して緩急もあって飽きさせない展開。さすがは駿脚本だと思える。

余談ながら過去作品と比べて気になった点。
・ジブリ特有の美味しそうな食事シーンがない(定食を食べるぐらい)。
・男女のキスシーンが何度かある。また明確には描かれないが初夜もある。
・ヒロインの死。ジブリ(宮崎駿)作品でヒロインが死ぬのは見たことがない。


私的にはジブリ作品は『ハウル』あたりから訳わからん状態で、
『ポニョ』も明確にドンと来るものは得ていない。
『アリエッティ』はラストでズコーだし、『コクリコ』も何が描きたかったのかイマイチ。
そう考えると、『風立ちぬ』はしっかりと締めくくられていたので良しかな。




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タグ:ジブリ
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はじめまして

堀越さんは架空人物じゃないですよー!
実際に居た方です♪( ´θ`)ノ
by はじめまして (2013-07-21 14:47) 

カルディア

はじめましてさん>
実在した堀越二郎という人物がモデルになっているのは知っています。
ですが劇中の堀越二郎の半生は堀辰雄の小説『風立ちぬ』からの要素やオリジナルも盛り込まれており、実質的には堀越二郎の歩んだ話とは言い難い。ゆえに架空人物というスタンスで明記しております。

by カルディア (2013-07-21 18:02) 

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