「わたし、魔法少女になる」
この言葉に愕然としたのはほむらだけではない。
あれだけ過去の失敗を見せられれば、
その先に破滅しかないことは視聴者も十分承知。
他に道はないのかと落胆するしかない瞬間だ。
「絶対に今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから」
この世界のまどかは何か違うね。
過去のまどかは感情的に魔法少女になっていた印象だけれど、
今回は熟考した末に出した自分の答えに自信を持っているような雰囲気がある。
まどかなら、なんとかしてくれる!
しかし一体どんな願いなら状況を打破し、みんなを幸せにできるのだろう。
様々な考えが自分の中でも巡るものの最良の答えは導き出せないんだ。
「すべての魔女を生まれる前に消し去りたい」
これからやってくる魔女、過去に訪れた魔女すべてを
生み出される前に消し去った世界にしたいということ!?
「すべての宇宙」ということは並行世界も含めてなのか!
それは魔法少女のシステム根幹から作り替える願いだよ。
そもそも魔法少女というのは枯渇する宇宙エネルギーを獲得することが目的。
その法則から作り替えなければならないなら、
宇宙そのものの改変につながるんじゃないか?
ありえない、できるはずがないだろう、まどか!
「君は本当に神になるつもりかい?」
きっとそんなに大それた意味も考えずに出した結果だろう。
みんなを助け、幸せにしたい。
途方もないことが起きることは少なからず分かっているはず。
その代償が自分に訪れることも・・・
自分1人が背負い込み、すべてを受け止める覚悟。
なんだ、すでにまどかは聖母じゃないか。
「因果はすべて私が受け止める」
今まさに力尽きようとする全世界、全時間の魔法少女たち。
ソウルジェムの濁りを消し去ることで、魔女化せずにその生涯を閉じることができる。
それは魔法少女たちにとって最高に救われる行為だ。
「宇宙が再編されているんだよ」
宇宙規模の大改変。
壮大すぎる、なんだこれは!
まどかの願いは宇宙を作り出せるほどの規模。
その代償として宇宙を壊せるほどの呪いが包み込む。
宇宙、終わったのか・・・?
そういうラストしかないのか!?
「もう絶望する必要なんてない!」
魔法少女まどかの真の姿。
長い髪がなびくその姿、
オープニングで見たあの女性はこのまどかだったのか!
「ひとつ上の領域にシフトして、ただの概念になり果ててしまった」
”まどか”という宇宙の概念。
すなわち星ができる仕組みや銀河を保つルールといった、
宇宙を作り出す法則としての存在へシフト。
もう1個人が支えられる規模じゃないよね。
「ずっと気づけなくてごめん、ごめんね」
ほむらはただ知ってほしかったのかもしれない。
まどかのために自分が歩んできた辛い時間を。
出会う度にリセットされてしまうまどかには、それを伝え切ることができない。
それが歯がゆくて自分1人だけで支えるには辛すぎる。
つなぎ止めていた気持ちが崩れ、すべてを投げ出したくなったこともあるだろう。
当初抱いていたまどかを救いたいという気持ち以上に、
頑張ってきた姿をまどかに理解され受け入れてもらえることが
今のほむらの最大の救いになるのだと思う。
「あなたはわたしの最高の友達だったんだね」
泣けた
自分の辛さを全部知ってもらえたほむらの嬉しさ
すべて受け止めてくれたまどかの優しさ
これまでが無駄じゃなかったと思わされるこのひと言がすべてを締めくくってくれているよ。
「だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから」
宇宙再編の前に託される、まどかからの贈り物。
果たしてそれは新世界でもほむらの傍らにあるのだろうか・・・
「さやかちゃんを救うには、何もかも無かったことにするしかなくて」
ここがちょっとわからなかった。
「この未来も消えて無くなる」ってことは、今2人が目にしている光景はなくなり、
上條は入院を続けることになるってことなのかな?
さやかがお見舞いに来ていた歴史を消し、
そもそも上條との出会いすらも無かったことにしたのだろうか。
消える前にさやかの望んだ未来を見せることで成仏させる形を取ったということは
少なからずさやかの恋心だけは残ったわけか。
結局のところさやかの祈りは、宇宙再編にとって邪魔になる願いだったのかなぁ。
それほどに報われない恋だったのか。
「まどかって」 「誰だよ?」
すでにまどかが人として存在しない世界が始まっていたのか。
まどかのリボンを結ぶほむら。
そういう演出があるのはわかってはいたものの、これは嬉しさがこみ上げてくるよ。
家族が「まどか」を懐かしむものの、その存在が何かはわからない。
もうここから目頭が熱くなってきてたまらない。
「キミが言う魔女のいた世界では、
今ぼくらが戦っている魔獣なんて存在しなかったんだろう?」
魔女はいないが魔獣がいる世界。
魔法少女がいるのだから戦う相手はいるものの、
それは魔法少女から生まれる魔女ではないようだね。
頭の切れるほむらが出した1つの仮説。
自分がなぜ「まどか」というものを意識してしまうのか、
その答えをどうしても明らかにしたかったのだろうね。
まどかの武器も受け継いでいたとは!
ほむらは深層心理でその武器を選ぼうと思ったんだろうなぁ。
まるで2人が1つになったような姿じゃないか!
ほむらから黒き翼が・・・
あれからどれほどの時間が経ったのだろう。
以前見せた真っ白な翼がここまで黒くなっているということは、
それだけ魔獣を倒し、呪いを背負ってきている証拠なのかな?
この世界における魔法少女のシステムがどう改変されたのかはわからないけれど、
この濁りは生命に影響しないのだろうか。
けれどほむらには、見えないが「まどか」というバックアップがいる。
最高の友達がいつもそばで見てくれているんだね。
- Fin -
感動的すぎる!
これほど気持ちを揺るがされ、ほどよく頭を回転させられ、
毎回楽しませてもらった作品は久しくなかったと思う。
謎めいた部分の小出しのタイミングの上手さ、
演出、キャラクター、そしてこの壮大さ。
まさか宇宙改変というレベルまで持ち出してくるとは思わなかった。
けれどそれぐらい派手だからこそ創作物は面白い。
唐突ではなく、理由があり、それしか無いという流れ。
そこへいたる解説が各話に散りばめられていることも納得のいく見せ方になったと思う。
「魔法少女」という題名や、一般人が受け入れ辛そうな見た目だけれど、
この作品が社会現象にならずにどうするんだと思えるレベル。
ただ、全体的に暗さがあってなかなかそれも難しいだろうけれど、
魔女って何? 次はどうなる、最後はどうするつもりなんだ?と、
その感覚は『エヴァ』を見ていた頃に近いものがあった。
それでいてしっかりと締めくくるラスト。
生涯の私的ベストアニメとしてランキング入りだ。
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