今までこうした声って”まさにロボット”と思えるぐらい、
それはそれは人の声から掛け離れたものだったけれど、
これはまさしく人の声。
元データに声優さんを使っているとはいえ、
ここまで綺麗に言葉同士を繋げることなんて、まだまだ難しい技術だと思っていた。
しかも文字を入力しただけで声にできるんだから、 (これはできないっぽい)
そしてこれが今、
ニコニコ動画でウケている。特にアイマスの映像と曲を使ったものが目立ち、
そこにこの初音ミクの声で歌わせているという趣向だ。
まるで本物の人の声と聞き違えるほど、ソフトの威力を見せ付けられる作品郡と言って良い。
また、
これほどこのソフトの魅力を引き出した宣伝はないとも感じた。
PCで動画を見ることが一般的になった現在、
ニコニコ動画の出現によって動画を見る楽しみをより感じている人も多いと思う。
止め絵に音楽をのせるだけなど、そんなちょっとした動画であれば
素人でも簡単に作れるということもあり、作り手も増えてきていると感じている。
すなわちこのソフトは、
まさに今の時代に合ったソフトというわけだ。
このタイミングで出現したことにどれだけ意義があるのか計り知れない。
■メーカーが予測できなかった事態
残念なことに、メーカー側はそこまで予測できなかったのか、
発売から1週間も経たずにネット上では品切れ状態。
自分も欲しいと思ったがネットでは買えなかったため、9/6に各店舗を練り歩いて探してみた。
しかしどこも見つからない。おそらく入荷数が少なかったとみえる。
店の人に聞いたところ、1週間~10日待ちだと言われた。
(ある店舗では9/14に再入荷と聞かされた)
あっと言う間に完売したところを見れば、初期ロットは数千だったのだろう。
(個人的な見立てで3000ぐらい)
メーカーがこれまで出してきたソフトを考えれば、無難な出荷数だったのだと思う。
しかしこれが大きな間違いだったわけだ。
ニコニコ動画では、動画の下にその動画に関連する商品を購入できる機能が備わっている。
見てわかるように、そこでは様々な商品が意外にも多く売れている。
動画を見て、多少勢いではあるけれども購入ボタンを押してしまうのだろう。
それだけの魔力がそこにはある。
ニコニコ動画で”初音ミク”で検索すると100件以上の動画がヒットするが、
実のところソフトは売れていない(9/7:確認時)。
高価であるというのも理由ではあるけれども、
売り切れていて購入できないというのがそもそもの原因だ。
こうしたところを見ると、
メーカー側はかなりの”売り逃し”があると思えてならない。
特にニコニコ動画の場合はDVD-BOXなども売れているところから見れば、
値段はあまり関係なく、むしろ勢いで買ってしまうところが多い。
少なくともここだけで50件以上の売り逃しがあったのではないかと感じる。
たとえ動画サイトではなく、ニュースサイトで知っただけでも
買いたい衝動にかられる人は多いと思える。しかし買えないのである。
興味を引いたほとんどの人は、少し経てば冷静に考えてしまい、
やはりいらないかと思ってしまうだろう。
15,000円という値段もそこではいらない理由になってしまう。
また、ニコニコ動画ですでに多数の初音ミク関連の動画がアップされているが、
これだけの数を見てしまうと、
いずれは飽きられてしまう可能性がある。
正直、ひと月も経てば「また初音か」「もう聞き飽きた」なんて思われかねない。
ようやくソフトを手に入れても、そんな雰囲気の中で動画をアップするのも
少々気が引けてしまうのではないだろうか。
そしてソフト側もあっという間に売り上げが落ちる(落ち着く)という流れだ。
本当にもう、もったいない!
良い商品なだけに、他人事ながらメーカーさんの調査不足に溜め息が出てしまう!
個人的にニコニコ動画を利用しているからという面もあるが、
これほど時代に合った商品は無いだろうと感じるだけに、本当に残念でならない。
■バーチャルボイスの第一人者になりうる可能性
もったいないとは言ったものの、それは今この時点での話。
もしかしたら息の長いジャンルになるかもしれないと感じる部分もある。
公式サイトを見ると、12月には
新たなVOCALOIDのシルエットが見受けられる。
ミクが標準だとすれば、このシルエットは明らかにロリっ娘。
これによって落ち着いた波が再び盛り上がる可能性も高い。
こうなると第三弾はお姉さま系かと勘ぐってしまう自分がいる。
そうして品揃えが良くなれば、バーチャルボイスのメーカーとして
今後君臨できるだけの素質は十分あるといえる。
上場しているならば、今から株を買っておきたいぐらいだ。
軌道に乗れば、
いずれ有名どころの声優の起用も期待できるかもしれない。
男性ボイス版なども爆発的に売れるんじゃなかろうかとも思えてくる。
ただ、色々な言葉を言わせられるという点から、拒否する事務所が多いかもしれないが。
たかが声。されど声。
このソフトの存在だけで
何やら未来を感じてしまったのは自分だけだろうか。
もう少し先の技術かと思っていたけれども、やはりこだわって作る人もいるんだなと感じた。
”できるけれどやる人がいなかった”、そんな技術だったのかもしれない。
作った人、偉いよ!
1つ言わせてもらうと、
体験版は置いて欲しかった。アップされている動画を見ると、中にはロボット声に聞こえてしまうものもあり、
その調整には作り手の手腕が試される部分もあると感じたからだ。
音関連に詳しくない自分が、果たしてどれだけのことができるのかを試してみたかった。
なにはともあれ、グッジョブ! と言わせるだけのソフトには違いない。