◆前振り
PG12指定のバイオレンス作品。
血が吹き飛び人を食らう演出もあったTV放送。
終盤の人間ジューサーには嫌悪感すら覚えたこともあり、
大画面でそんな気色悪いものを見たくないと思ったものの、
小夜の結末をどう描くかが気になっていた。
キャラクタービジュアルも美しくリアル調になったのも視聴のきっかけ。
◆本編感想
「勝者には褒美を、敗者には罰を」
戦いの場を東京に移し、序盤から古きものによる事件が勃発。
恐怖とスピード感のあるこの掴み!
いきなり映像の中に没入させるだけの引きがあったよ。
ここで2人の男と1人の女の子に出会う。
CV中村悠一、梶裕貴の人気声優を起用。だから女性客も多いのかと。
そしてサブヒロイン的な立場の柊真奈、CV橋本愛...って誰?
「Another」(実写劇場版)の見崎鳴を演じるモデルさんか!
すごく・・・下手ですw
鳴は抑揚を付けずに演じられるキャラだけど、
真奈は普通の女の子で喜怒哀楽の表現がかなり必要な立ち位置。
正直、作品の質を落としかねないほどの下手っぷりでした。
文人の組織の秘密を暴こうとするサーラットと呼称する6人のメンバー。
単独行動がしたい小夜だが、利害一致のため形式上仲間に。
この距離感がいいね。
小夜は笑わないし寡黙なのでコミュニケーションが取りづらい。
人を寄せ付けない雰囲気があるものの、メンバーたちはそんな小夜を気にかけ、
馴れ合いではない距離を保ちつつ、徐々に仲間意識を芽生えさせる。小夜も単なる殺戮マシーンではなく、浮島での記憶もある情を持った女の子。
なにかと共に行動する真奈には少なからず心を開く様子も良い。
新たな刀を求めて小夜がやってきた建物。
これ『XXXHOLiC』の舞台となった侑子さんの店じゃないか?
と思ったら福山ボイスのあの子犬が登場。
なんとワタヌキも出てきたよ・・・おお~。
侑子さんに代わって店主にでもなったかのような風貌だ。
CLAMP作品は世界観を共有させてくるのも味なので、この演出は分る人には楽しめるね。
ここまで見ていて何気にローアングルが多い印象。
小夜のセーラー服は丈が短いからドキドキするw
序盤は扇情的なアングルが結構目に付いた感じかな。
さらに入浴シーンもある!
小夜のふくよかな胸が露わになり、乳首も解禁。
BD4巻でも解禁されたけれど、それとはまったくの別物。
こだわりを感じるほど美しい胸の形なんだ。脳裏に焼き付ける価値あり。いやほんとに。
文人がとある学校へ公演にやってくる情報を得て潜入。
ブレザー姿の小夜もいいね。
ここで古きものとの戦いが繰り広げられ、そのスピード感と構図に見入る。
中盤で文人との対峙を見せることで小夜の怒りと戦闘力を見せつける場面。
また仲間意識の構築を進め、小夜の回復力を知るという丁度良い情報量とタイミング。
これTV版未見でも結構楽しめるんじゃないかと。終盤、ついに文人のいる本拠地を突き止め、ラストバトル。
まさかの裏切りもあり一度は自由を奪われたものの、文人への怒りが小夜を突き動かすことに。
最終決戦はダイナミックだったものの、意外とあっさり倒した印象。
もう少し苦戦してほしかったかな。
そして文人の死をもって戦いに終止符が打たれる、と。
う~ん・・・
●ラストの考察
文人は多額の資金と多くの人と時間を使って、何がしたかったのか。
元は手を付けられないほどの殺戮マシーンだった小夜を浮島に隔離し、
その動向を観察するための単なる実験体。
けれどこのラストからは、
小夜を1人の女性として自分の物にしたかっただけのようにも思えたよ。浮島では自ら喫茶店の店主として女の子している小夜を見て楽しんでいた。
記憶を取り戻す過程で、その絶望の表情を見てまた楽しむ。
そして自分自身を憎ませることで頭の中を文人一色に染め上げ、
自分を求めて追ってくるのを楽しむと。
1人の少女の心をもてあそんでいたかっただけじゃないかな。
人ではない残酷な少女があまりにも美しかったために芽生えてしまった感情。
自分の物にならないことが分ったうえでの大金持ちの遊び。
そんなふうにも取れたなぁ。
◆総括
ラストが物足りないが全体的に良い仕上がり。
展開に凄く引き込まれる!
緩急のタイミングがしっかりしていて物語の運びが上手いなと。
小夜があまり語らないキャラなので戦闘以外は落ち着いた雰囲気だけど、
この空気感が好きな人にはたまらないなと思えたよ。
感動したり涙することはないけれど楽しめる作品だ。
仲間の男2人が盛り上げ担当なので終始暗いわけではない。
明暗の緩急もあり、静と動の緩急もあって1作品としてのデキは良かったです。BDが出たら買うかどうかで判断すると、欲しいかも。
万人受けはしないだろうけれど、劇場版を単体で見ても楽しめる作り。
自分は好きな作風なので何度か観返したいなぁ。