■涼宮ハルヒの憂鬱
アニメ1クールの本筋ともいえる作品。
この1冊を5本分に割って放映されたため、
アニメではかなり忠実に再現されたと思う。
アニメよりもキョンの語りが多いという楽しみを味わいつつ、
多少異なる部分に関しては、
アニメスタッフはよく調節したものだと感心もする。
小説を読みながら頭にはその情景が浮かんでくる。
それは当然であって、理由はアニメを先に観ているから。
しかしながら何だ、ハルヒやキョンの声も聞こえてくるのは
妄想力のなせる技なのか。
アニメで使われなかった本の中のセリフも、こんな感じで言うだろうと
頭の中で改変して響かせる。
時折、”もしアニメよりも先に、この原作から読んでいたとしたら
自分はどんな感想を持ったのかな?”と思ってしまう。
でも、すでにアニメを観ているため、そこを無しに読むことができないので
純粋にこの1巻目がどれだけの面白さかはなかなか分からない。
しかしながら、この一冊の中にアニメ5話分が入っていると思うと、
どれだけ様々な展開が詰まっているのか、
アニメを観た方なら想像するに易しいかと。
アニメの内容とほぼ重なるため、少しキョンの語りが追加されたいう印象かな。
ちなみにこの一冊を読むだけで、その後書く自分の文章がキョン化するので
ご注意を(笑
■涼宮ハルヒの溜息
丸々一冊、アニメ1話目の「朝比奈ミクルの冒険 EPISODE.00」の裏話。
なるほど、あそこでこうなっていたのはそういうことだったのか!
なんていう楽しみ方ができる1冊。
なぜ長門がミクルに襲い掛かったのかとか、しゃべる猫の理由とか、
とにかく色々分かって面白かった。
アニメ第二期があるのならば、一期に合わせてこれを第一話に
持ってきそうだなと感じてみたり。
「溜息」を読むと、みくるちゃんの可愛さがすんごく伝わってくる。
ヤバイね、これは”みくる萌え”に転向か? ぐらいの勢い。
最後のほうであまりのハルヒのやり方に怒るキョン。
キョンの説明を聞いているうちに、確かにこんなヤツが実際にいたら
同じように怒りが込み上げてくるだろうし、なんだコイツという目で
ハルヒを見てしまいそう。
しかしその後にとったキョンの行動(一言)で、一変するハルヒが
ちょっと可愛らしくも見え、気持ちのよい終わり方になるのは流石だと感じる。
ちなみにこれを読んだ後、アニメ第一話を観直したのは言うまでも無い。
■涼宮ハルヒの退屈
4作の短編が詰まった一冊。
その中でもアニメ化された話は、
「涼宮ハルヒの退屈」(野球の話)、
「ミステリックサイン」(コンピ研部長の話。カマドウマのやつ)、
「孤島症候群」、の3つ。
あと1つは自分にとっては初見の「笹の葉ラプソディ」。
「涼宮ハルヒの退屈」と「ミステリックサイン」はだいたいアニメと同じ。
「孤島症候群」はキョン妹が一緒に行かなかったのが大きく違う。
キョン妹を一緒に行かせたアニメはなかなか成功だったと思ってみたり。
原作は原作でちゃんとまとまってるし、
アニメから見た自分はどちらもなかなか楽しめました。
ともかくこの巻での最大の楽しみは、初見の「笹の葉ラプソディ」。
これが面白かった!
そもそも自分は時間移動の話とかが大好きなので、
もし小説しか読んでいなかったとしたら、
この話でこの作品が好きになっていたと思う。
それにしても”まさかあの時、長門の部屋で!?”という展開には驚かされました。
そんな方法もあるのかと。
そしてこれを読んで、キョンが髪型のことでハルヒに声をかけたときの
「あんたどこかであったことある?」のセリフに意味があったんだと驚く。
作者はこの作品も考えていたうえで一巻を書いたのか! と。
ま、そのあたりはあとがきでわかるわけですが。
しかもこの話はかなり重要ということが、後の巻で知ることになるわけで…。
■涼宮ハルヒの消失
丸々一冊、初めての話で楽しめました。
しかも時間移動の話なので、そらもう釘付け状態。
まず目を引いたのが、本の先頭にあるカラーイラスト。
なぜ朝倉涼子が!? これだけで引き込む要素は十分。
アニメを観て、原作もここまで読んで、非日常的世界を十分理解している
状態の中で持ってこられる日常的世界の話。
話作りがうまいな~、ホント。ここでこういう話を持ってくるんだもんな。
不思議な力を持っていない一般人だけの世界を見せられて、
これが普通なんだよな、と妙に納得してみたり。
けれど、キョンのことを知らないハルヒ、みくるちゃん、長門、古泉…
これにはちょっと面喰らい。そうきたか~!
正直、キョンと同じように凄く悲しい気分になりました。
あれだけ仲良くしていた人が、自分とは接点のなくなった世界に
放り出されるのはかなり辛い状況。
辛いんだけど、辛い状況なんだけどさ……
長門がカワイイーーー!
つーか、可愛いバージョンが可愛い~!(笑
んだよコレ! この長門をぜひアニメで観てみたいよ!!
しかも今回の話でどれだけキョンにとって長門が大切なのかがわかる。
絶対なる信用を置かざるを得ないというか、
これだけ信じられるキャラがかつていただろうか。
一瞬でも”みくる萌え”に転向しそうになったことを謝りたいね、ほんと。
読みながら、”そうだよ、長門だよ! 長門に頼れよ、キョン!”と
心の中で叫んでいる自分がいたわけですよ。
読み手すら長門に信頼を置けるようにするとは……やってくれるぜ。
そんなわけで、
まだまだ続くハルヒワールドを堪能できることを幸せに思いつつ、
次の巻へと続くのです。