◆前置き・シリーズは1作しか見ていない
一作目となる『ふたりはプリキュア』は2~3話ほど見て切った。
「子供向けだから設定も展開も単調」
そんな印象を払拭しないまま新シリーズが始まろうとも見向きもせず。
そこへ7作目の『ハートキャッチ』が面白いという話を耳にして再放送を見た。
これが面白かった。
だがその後、新作が始まるたびに数話見ては切ることが続いた。
結局『ハトプリ』だけが面白かったんだなと。
ネット上では盛り上がった感のある前作の『スマイル』も、
やっぱり子供向けが拭えずに5話あたりで視聴を断念。
そうしてやってきたのが10作目の『ドキプリ』だ!
◆こうして俺は『ドキプリ』にハマっていった
序盤からプリキュア同士が反発し合う展開に興味がそそられる。
キャラの絵柄も好みだ。
二話での「信号機のボタンを押す立花」のシーンなど、
緊迫する中におどけた空気感。
真面目とギャグの調度良い塩梅に好感を持った。
三話では眼鏡の立花が非常に可愛らしくてツボ。
cv.寿美菜子ということもあって心を射抜かれっぱなしになる。
そこもハマれる要因だったのかもしれない。
トントン拍子で仲間が増えていくあたりは定石だけど、
キャラクターにしっかりしたバックグラウンドがあるのは好印象。
ソード(真琴)がなかなか仲間に加わらないあたりも
やきもきさせられて次回の視聴へとつながっていく。
この揺さぶり具合が上手い。
謎だった真琴の使命が明らかになるのが
早くもなく遅くもない7話というタイミングなのも心憎い。
この頃になるとプリキュアサイドもさることながら、
敵の憎めなさもまた味として面白さが見えてくる。
たとえば8話でのヒツジ。
ダイアモンドに数を乱され戸惑うシーンが非常にツボを付いた。
重要回の合間には、いわゆる消化回と呼べる話が入ってくるのは
この手の作品の常套手段。
大抵はそこで中だるみを感じてしまうが、ザコ戦では笑える部分も多く、
ほろりとくる話もあって、一話完結でしっかりオチが付く。
重要回よりも消化回のほうが視聴継続に作用することを理解しているのか、
手抜きのない作りで牽引していくこの上手さ。
赤ん坊のアイちゃんの「きゅぴらっぱー」はじわじわくるものがあった。
「どうせこの子が消えた王女様なんだろ?」と、
子供向け作品という面から単調な種明かしを推測した瞬間だ。
のちにそれが浅はかだったと知る。
敵側に金髪美少女レジーナが登場し、
あまりのワガママ(自己中)っぷりが逆に心をくすぐっていく。
味方になりそうでならない不安定っぷりが魅力であり、重要キャラな空気感。
そこへ今度は新プリキュア「エース」の登場。
しっかり者でマナたちを諭す様子からこの人が王女様なのかと勘ぐりつつ、
アイちゃんは何なのか、レジーナの存在意義は?...と謎が深まるばかり。
中盤に差し掛かれば作品もノリに乗ってきたのかギャグ回は突き抜け、
手がつけられないほどに盛り上がっていく。視聴はおのずと継続だ。
好きなのはセバスチャンの人工プリキュア、ニンジン嫌いの亜久里、
アイちゃんの不良化、真琴の歯医者嫌い回など。
各々のキャラが最大限に魅力を発揮してくるところが凄い。
プリキュア5人のキャラクターが掘り下げられていく中でしっかり本筋も進行していく。
一旦息を潜めていたレジーナが復活してくるなど
見せ方のバランスが計算しつくされている感がある。
終盤、ついに明らかになる亜久里とレジーナの関係、アイちゃんの意義。
序盤に抱いた子供向けに用意された単調な謎ではなかったことに
驚きを感じずにはいられなかった。
その種明かしによって、ラストは3人との別れがあるかもという悲しい想像がよぎる。
けれど当初の目的であった王女復活を成さずという大胆なオチ。
そんなところも驚きだ。
王女以上にマナたちは大切な友達を得られたため、
この結末にも大いに納得することができた。
誰もが笑顔で見送ることのできる上手い締めくくりだ。
◆総括
視聴テンションを一年保てるアニメ作品はそうそう現れない。
漫画原作ならまだしも、オリジナルではどんなに難しいことか。
だが『ドキプリ』はそれをやってのけた。
傑作と言っても過言ではない。
一年間、ありがとう!
ストーリー・・・5
キャラクター性・・・5
画・・・5
演出・・・5
音楽・・・4
総合的な評価・・・5
総合点・・・29